1952~1954年の間に台湾はアメリカ軍を参考にし、国軍の再編に着手した。その為に陸空海軍の各部隊の中には一般憲兵隊と異なる部隊番号をもつ「軍中独立憲兵(独立野戦憲兵隊)」が見られるようになってきた。
アメリカ軍事顧問団が導入した野戦憲兵隊制度とは、各部隊の参謀部署に憲兵課を設置し、その業務内容を「軍紀維持」と「捕虜管理」にした。 A.軍紀維持 (1)戦時における戦場離脱者(遊兵)の収容・管理および処置 (2)軍紀違反軍人の処理 B.捕虜管理 (1)捕虜処理の事前計画および現場監査 (2)捕虜の収容、監護および輸送
まずは1952年に各軍団参謀の中に憲兵参謀が設置され、のちに憲兵第1聯隊の各大隊が派遣され、1軍団につき1憲兵大隊(3中隊編制)が配属された。よって、台北の第6軍団、苗栗の第50軍団、中壢の第52軍団、鳳山の第80軍団、澎湖の第96軍団など5つの軍団の中に独立憲兵大隊が存在するようになってきた。
また、「野戦憲兵の地区憲兵隊業務施行条例」により、中壢憲兵隊、旗山憲兵隊、嘉義憲兵隊など3ヶ所の地区憲兵隊は第52軍団、第54軍団、第75軍団の配属野戦憲兵隊が軍団司令部の指揮のもとで、一般民間人や住宅に対して検問/捜査することができる。1958年から、各師団も独立憲兵中隊が配属されるようになった。そのなか、9個の予備師団それぞれの配属憲兵の部隊番号は予備第1師団(憲兵予備第1中隊)を除いて、予備第2師団~予備第8師団まで「独立憲兵第275~283中隊」が付与された。
「軍中独立憲兵」とは戦闘勤務支援部隊として定義されている。各軍団の1軍団につき1憲兵大隊、1歩兵師団につき1憲兵中隊、1独立旅団につき1憲兵小隊が割当てられる。
その編制については、歩兵部隊に近いものであるが、重火器が配備されていない。英米法における憲兵の役割、すなわち基地や戦地における軍事保安が任されている。
主な任務は、戦時の対敵作戦ではなく、戦場における軍紀維持、部隊の交通誘導、前線司令部の警備、捕虜の収容と管理、住民の安全確保などが挙げられる。
2007年から軍縮により、各軍団(army corps)に一個の独立憲兵小隊が保留され、それ以下の野戦憲兵隊(中隊・小隊)がすべて廃止された。